「採用する側」の本音を書いた記事は、実は少ない
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未経験からのエンジニア転職を目指していると、「ポートフォリオの作り方」「面接対策」といった記事はたくさん見つかります。ただし、その多くは転職エージェントやスクール側からの視点で書かれたものです。
「採用する側は実際に何を見ているのか」を、採用する立場の人間が正直に書いた記事は、意外と多くありません。
この記事では、社員15名・全体50名規模の開発組織でエンジニアリングマネージャーを務め、未経験者の書類選考・面接に何度も関わってきた私(yzak)が、実際の採用基準を解説します。
筆者について Web系開発・運用20年以上。現役エンジニアリングマネージャーとして、AWS上で動くサービスの開発組織(社員15名・全体50名規模)を運営。プログラミングスクールでAWS/Java/Pythonのインストラクターも担当し、未経験からの転職支援にも継続的に関わっている。
IT業界の人材不足は深刻で、経済産業省の試算では2030年に最低16万人、最大で約79万人のIT人材が不足するとされています。IT・通信エンジニアの求人倍率は10.67倍(全職種平均2.44倍、doda調べ・2026年5月)と、求職者1人に対して10社以上が採用を競う状況です。
「これだけ人手不足なら、未経験でも簡単に採用されるのでは」と思うかもしれませんが、実態は少し違います。採用のハードルが下がっているのではなく、「誰でもいいから採る」企業と「見極めて採る」企業の二極化が進んでいるというのが、現場の実感です。
実際にあった話ですが、前職が飲食店の店長だった応募者が、「シフト調整と発注業務の手間を減らしたくて、独学のPythonで簡単な自動化ツールを作った」というポートフォリオを持ってきたことがあります。技術的な難易度は決して高くありませんでしたが、「現場で困っていたことを、自分で調べて解決した」という経緯を具体的に語れていたことが決め手になり、選考を通過してもらいました。技術力よりも、こうした「課題発見→自走して解決」の経験の方が、未経験者の評価では重視されやすいと感じています。
書類選考で見ている3つのポイント
未経験者の書類選考では、技術力そのものより「今後どう伸びるか」を推測できる材料を見ています。
ポイント1:ポートフォリオの「完成度」より「思考の跡」
未経験者のポートフォリオを見るとき、正直「完成度」自体はあまり重視していません。学習期間を考えれば、粗があるのは当然だからです。
それより見ているのは、README・コミット履歴・設計判断の記録に「なぜそう作ったか」が残っているか。技術的な選択理由を言語化できる人は、実務に入ってからの伸びが早い傾向があります。
ポイント2:職務経歴書の「なぜエンジニアか」の一貫性
前職の経歴とエンジニア転職の動機に一貫したストーリーがあるかを見ています。「AIに仕事を奪われそうだから」のような漠然とした動機だけの人より、前職での課題感と結びついた動機を語れる人の方が、面接での説得力が違います。
ポイント3:資格・学習履歴は「加点材料」であって「合格ライン」ではない
AWS認定資格(CLFやSAA)を保有していると、学習を継続できる証明として好意的に見られるのは事実です。ただし、資格保有そのものが合否を決めるわけではなく、あくまで「学習を継続する力があるか」を示す一つの材料という位置づけです。
逆に書類選考で見送ることが多いのは、資格やスクールの修了証を10件近く並べているのに、それぞれについて「何を学んだか」を一言も語れていない職務経歴書です。数の多さを前面に出されると、かえって「一つひとつを深く理解できていないのでは」という懸念が先に立ってしまいます。資格は「量」より「1つを説明できる深さ」で見られていると考えてください。
面接で見ている3つのポイント
面接では、書類だけでは分からない「一緒に働けるか」の解像度を上げにいきます。
ポイント1:技術力より「学習速度」の証拠
未経験者に高度な技術力を求める面接官はいません。それより見ているのは、「知らないことをどう学んだか」の具体的なエピソードがあるかどうか。学習方法に再現性がある人は、実務に入ってからも自走できると判断できます。
ポイント2:「わからない」を素直に認められるか
技術面接で答えられない質問をされたとき、知ったかぶりをせず「分かりません、こう調べます」と言えるかを見ています。未経験者が知らないことは前提なので、ここで無理に取り繕おうとする人の方がマイナス評価になりやすいです。
ポイント3:チームで働くイメージが持てるか
コードレビューや設計相談など、他者からのフィードバックを受け入れる姿勢があるかを会話の端々で確認しています。独学で完結してきた人ほど、この点を意識して話すと好印象です。
スクール卒業生を実際に何人か採用してみて感じるのは、カリキュラムをそのままこなしただけの人と、そこから自主的に機能を追加してみたり、エラーの原因を自分なりに調べ直したりした人とでは、入社後の立ち上がりの速さが目に見えて違うということです。同じスクール・同じ期間で学んでいても、この「一歩踏み出したかどうか」が後々の差になります。
スクール卒業生と独学、採用側はどちらを評価する?
結論から言うと、「スクール卒業」か「独学」かという括りそのものは、採用判断にほとんど影響しません。
見ているのは、その学習過程で何を身につけたか。スクールを使った場合は、カリキュラムをこなしただけか、そこから自分なりに深掘りしたかが差になります。独学の場合は、学習の設計・進め方そのものに再現性があるかが評価ポイントです。
自分に合った学習方法が分からない場合は、プログラミングスクールを活用するのも有効な選択肢です。当サイトでは実際に複数のスクールをレビューしています。
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体系的にAWSやプログラミングを学びたい方には、Winスクールもおすすめです。
未経験採用でよくある誤解・NGパターン
現場で何度も見てきた、もったいない誤解を3つ紹介します。
誤解1:「資格をたくさん取れば評価される」
資格は加点材料ですが、数を積み上げるだけでは実務力の証明にはなりません。1つの資格をしっかり深掘りして、学んだ内容を自分の言葉で説明できる方が評価されます。
誤解2:「若さがすべてを解決する」
ポテンシャル採用を狙える20代は有利な傾向がありますが、年齢だけで決まるわけではありません。30代・40代でも、前職の経験とエンジニアリングの接点を明確に語れる人は評価されます。年齢を言い訳にする前に、自分のストーリーを整理する方が建設的です。
誤解3:「完璧な準備ができてから応募する」
準備を完璧にしようとして応募を先延ばしにする人が一定数います。しかし、採用側が見たいのは「今の完成度」ではなく「伸びしろ」。ある程度形になった時点で応募し、面接でのフィードバックを次に活かす方が結果的に近道です。
まとめ|採用側が見ているのは「今」ではなく「これから」
最後にポイントを整理します。
- 未経験採用は「誰でもいい企業」と「見極める企業」に二極化が進んでいる
- 書類選考では思考の跡・一貫したストーリー・学習継続の証明を見ている
- 面接では学習速度の証拠・素直さ・チームで働けるイメージを見ている
- スクールか独学かより、そこから何を身につけたかが評価される
- 資格・年齢・完璧な準備よりも、伸びしろを言語化できるかが重要
未経験からのエンジニア転職は狭き門ではありませんが、「なんとなく頑張る」だけでは伝わりません。採用する側の視点を知った上で準備を進めれば、遠回りせずに済むはずです。
学習の全体像に迷ったら、未経験からAWSエンジニアになるための完全ロードマップもあわせてご覧ください。


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