「少しお話ししたいことがあるんですが」——1on1でメンバーからこう切り出された瞬間、多くのEMは身構えます。そして「実は転職を考えていて」と続いた瞬間、頭が真っ白になる。この記事では、退職相談を受けた最初の数分間で何をすべきか、何をすべきでないかを整理します。
最初の反応が、その後の関係を決める
退職の意思を伝えるのは、本人にとっても勇気がいることです。ここでの最初の反応は、慰留が成功するかどうかだけでなく、仮に退職するとしても円満に進むかどうかを左右します。焦って引き止めにかかると、本人は「やっぱり伝えなければよかった」と心を閉ざしてしまいます。
やってはいけない初動
即座に条件を提示する
「給与を上げるから」「昇進の話を進めるから」と、理由も聞かずに条件闘争に入るのは逆効果になりがちです。本人が離れたい本当の理由が条件面でない場合、その場しのぎに見えて信頼を損ないます。
説得・反論から入る
「今辞めるのはもったいない」「うちの方が良い環境だと思う」といった説得は、本人の意思決定を否定するところから会話が始まってしまいます。まずは受け止めることが先です。
その場で結論を求める
動揺のまま「なぜ?」「本当に大丈夫?」と矢継ぎ早に聞くと、尋問のような空気になります。本人も気持ちの整理がついていない段階であることが多いです。
最初の数分でやるべきこと
1. 伝えてくれたことへの感謝を言葉にする
「話してくれてありがとう」と、まず受け止める姿勢を示します。これだけで本人の緊張が多少和らぎます。
2. 理由を「聞き出す」のではなく「聞かせてもらう」
理由を聞く際も、詰問にならないよう「差し支えなければ、きっかけを教えてもらえますか」といった聞き方にします。話したくない部分があれば、それ以上は深追いしません。
3. その場で結論を出そうとしない
「分かりました。一度持ち帰って、改めて時間を取らせてください」と伝え、その場では判断も説得もしません。本人にとっても、マネージャーにとっても、冷静に考える時間が必要です。
4. 退職理由の「本音」と「建前」を区別して聞く
最初に語られる理由(「新しい挑戦がしたい」等)は建前であることも多く、本音(人間関係、評価への不満、将来性への不安)は複数回の対話の中で見えてくることがあります。一度で全てを聞き出そうとしないことが重要です。
持ち帰った後にやること
その場で終わらせず、次の対話までに以下を整理しておきます。
- 本人の話から読み取れる、離れたい理由の仮説(複数あってよい)
- 自分やチームの側で改善できる余地があるか
- 慰留する場合、何を変えられて何を変えられないか(条件・役割・関係性)
1on1の運用全般については新任EM向け1on1テンプレートも参考にしてください。
まとめ|最初の数分は「受け止める」に徹する
- 即座の条件提示・説得・結論を求めることは避ける
- まず感謝を伝え、理由は無理に聞き出さない
- その場で判断せず、一度持ち帰って冷静に整理する時間を取る
- 語られた理由は建前の場合もあり、複数回の対話で本音に近づく
退職相談は、マネージャーにとって最も動揺しやすい場面の一つです。だからこそ、最初の反応だけは事前に決めておくと、いざという時に落ち着いて対応できます。
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