「来月からマネージャーね」——ある日突然そう言われて、何から手をつければいいか分からないまま最初の1ヶ月が過ぎていく。エンジニアリングマネージャー(EM)になった人の多くが通る道です。この記事では、現役EMの視点から、未経験からEMになった人が最初の3ヶ月で何を優先すべきかを、一般的に有効とされる進め方に沿って整理します。特定の企業・チームでの個別事例ではなく、EMとして広く共有されている考え方の整理としてお読みください。
最初の3ヶ月の目標は「成果を出す」ではなく「壊さない」
プレイヤーだった頃の感覚のまま「早く結果を出さなければ」と焦ると、チームの実情を把握する前に施策を打ってしまい、かえって信頼を落とします。最初の3ヶ月の目標は、派手な成果ではなく「チームの状態を正確に把握し、変な壊し方をしない」ことに置くのが定石です。
1ヶ月目|全員と1on1をして「現状」を聞く
最初にやるべきは、チームメンバー全員との1on1です。目的は評価でも指導でもなく、現状把握。以下のような質問が定番です。
- 今のチームで働きやすいと感じる点、しんどいと感じる点
- 今取り組んでいる仕事で困っていること
- 前任のマネージャーとの関わり方で良かった点・変えてほしい点
- 今後どんな仕事・スキルに挑戦したいか
ここで重要なのは、聞いた内容をすぐに変えようとしないこと。1ヶ月目は判断を保留し、情報収集に徹します。
2ヶ月目|チームの「構造」を把握する
個人の話が集まってきたら、次はチーム全体の構造を把握します。具体的には以下の観点です。
- 意思決定が誰の承認で止まっているか(ボトルネック)
- 属人化している業務・知識はどこにあるか
- 会議体は機能しているか、形骸化していないか
- 評価制度・目標設定の運用は実態に合っているか
この段階でも、大きな変更にはまだ着手しません。「何がボトルネックか」の仮説を持つところまでが2ヶ月目のゴールです。
3ヶ月目|小さく変えて、反応を見る
3ヶ月目に入ったら、いよいよ小さな改善に着手します。ポイントは「小さく」です。いきなり評価制度や組織体制を変えるのではなく、次のような着手しやすいところから始めます。
- 形骸化していた定例会議のアジェンダを見直す
- 1on1の頻度・アジェンダを整える
- ボトルネックになっていた承認フローを1つだけ見直す
小さな変更への反応を見ながら、チームがどの程度の変化に耐えられるか(変化への感度)を見極めていきます。
やりがちな失敗|前任者・前職のやり方をそのまま持ち込む
未経験でEMになった人が最も陥りやすい失敗は、自分がプレイヤー時代に良いと感じたマネジメントスタイルや、本で読んだフレームワークを、チームの状態を見ずにそのまま適用してしまうことです。同じ「1on1」でも、チームの成熟度や関係性によって適切なやり方は変わります。3ヶ月かけて現状を把握するプロセスを省略しないことが、結果的に一番の近道になります。
資格取得も含めた技術力の維持については未経験からAWSエンジニアへのロードマップで、EMとしての採用視点については現役EMが教える「未経験エンジニア採用で見るポイント」で解説しています。
まとめ|最初の3ヶ月は「聞く→構造を掴む→小さく変える」
- 1ヶ月目: 全員と1on1をして現状を聞く。判断は保留
- 2ヶ月目: チームの構造・ボトルネックを把握する
- 3ヶ月目: 小さな変更から着手し、反応を見る
未経験からのEM就任は不安が大きいものですが、焦って成果を急がないことが、結果的にチームとの信頼構築の近道になります。
1ヶ月目の1on1で何を聞けばいいか迷ったら、新任EM向け1on1テンプレートもあわせてご覧ください。
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